福建省高級人民法院(福建高裁)はこのほど、データ無断転用を巡る不正競争訴訟において二審判決を下した。一審判決を支持し、被告企業3社に対し原告企業への総額212万元(1元は約20.3円)の賠償支払いを命じた。本件は、加工済みデータ集合体に対する法的保護を初めて明確化した判断として注目されている。
原告の上海有色網信息科技(上海有色網)は、2009年より独自のアルゴリズムを用いて金属取引データを分析し、業界標準とされる「SMM価格」を有料会員向けに提供してきた。一方、被告である長某公司とその関連企業は、このデータと酷似した価格情報を複数のプラットフォームで公開し、収益を得ていた。上海有色網はこれを「データの無断転用」として1897万元以上の損害賠償を求めて提訴したが、被告側は「公開情報の正当な利用」と主張していた。
一審では、SMM価格データが独自の加工を経て形成されたものであり、独立した財産的価値を持つことが認定された。その商業的価値の高さから、反不正当競争法の保護対象に該当すると判断された。被告側はデータの出所を説明する証拠を提出できず、誤ったデータ生成に関する合理的な説明も行えなかったことから、不正競争行為と認定され、212万元の賠償が命じられた。
両者ともこの判決を不服として上訴したが、福建高裁は二審で一審判決の事実認定と法解釈が正当であると判断し、双方の上訴を退けた。
この司法判断は、デジタル経済時代における新たな権利保護の課題に応えるものであり、類似の案件を審理する全国の裁判所にとって重要な参考となる。
出所:中国知識産権資訊網
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