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15 April 2025

中国における日本アニメの商標出願における商品及び役務の区分の選択——『銀魂』を例に

K
Kangxin

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『銀魂』は、日本の著名な少年漫画であり、2004年に『週刊少年ジャンプ』で連載が開始されて以来、その独特なユーモア、熱血...
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『銀魂』は、日本の著名な少年漫画であり、2004年に『週刊少年ジャンプ』で連載が開始されて以来、その独特なユーモア、熱血、風刺的な作風で多くの読者を魅了してきました。さらに、アニメや実写映画など、多様なメディア展開を果たしています。アニメ版は2017年に完結しましたが、近年SNS上での話題性が再燃し、ブランド側も海外市場におけるIP保護を再評価する動きが見られます。本稿では、集英社の『銀魂』商標を例に、日本アニメが中国で商標を出願する際、どのように適切な商品区分を選択すべきかを探り、類似ケースの参考とすることを目的とします。

『銀魂』は、漫画家・空知英秋によって創作され、荒唐無稽でありながらも人間味あふれる世界観を築いています。物語は江戸時代末期を舞台に、主人公・坂田銀時とその仲間たちの冒険と成長を描いています。多彩なストーリー展開とジャンルを超えた要素により、『銀魂』は日本国内のみならず海外でも多くのファンを獲得しました。特にアニメや映画などの派生作品の登場により、ブランド価値がますます高まっています。

『銀魂』の商標権者は、『週刊少年ジャンプ』の出版社である日本の集英社です。『銀魂』の漫画連載が2004年に始まり、翌2005年には集英社が日本で「銀魂」商標を多区分出願し、「9、16、25、28、41」の区分を指定しました。これにより、アニメ・漫画・映像作品といった文化・エンターテイメント商品や、衣類・玩具といった関連グッズが法的保護の対象となりました。アニメ第1期は2006年に放送開始されましたが、中国での商標出願は第2期完結後の2012年になってからであり、「9、16、28、30、32、41」の区分が指定されました。日本の登録区分と比較すると、中国では「30(食品)」「32(飲料)」が追加されており、市場ごとの製品タイプや消費ニーズの違いが反映されています。その後、2014年には「25(衣類)」の追加登録が行われ、さらに2022年には「23区分」に及ぶ大規模な多区分出願が行われ、ほぼすべての主要な区分を網羅する形となりました。

この『銀魂』の商標出願の経緯を例に、日本アニメのIPが中国で出願する際には、以下の主要区分をカバーする必要があります。

1. 文化・エンターテイメント関連区分

アニメ・漫画・映画などの出版物や映像コンテンツだけでなく、デジタルメディア、オンライン配信、モバイルアプリなどの新しいエンターテイメント形態にも対応することが重要です。これにより、オリジナル作品およびその派生作品があらゆる配信チャネルで法的保護を受け、無断コピー・改変・流通のリスクを防ぎ、IPの独自価値と市場競争力を維持できます。
主な該当区分:

第9類(映像コンテンツ、電子アクセサリー)

第16類(出版物)

第41類(エンターテイメント、公演、文化サービス)

2. 派生商品(グッズ)区分

この区分は、ファン市場の多様なニーズを満たすことを目的としています。衣類、玩具、文具、アクセサリーなどの日常消費財をカバーすることで、ブランド側はアニメ作品のキャラクターやデザインを包括的に管理し、高品質かつ一貫性のある商品展開を実現できます。また、収益の多様化を図るとともに、潜在的な偽造品や模倣品に対する法的根拠を強化することができます。
主な該当区分:

第14類(アクセサリー、チャーム、バッジ、キーホルダーなど)

第16類(文具、印刷物、ポストカードなど)

第25類(衣類、靴、帽子など)

第28類(玩具、カードゲームなど)

その他の日用品区分(例:第21類の食器・マグカップ、第20類のクッションなど)

3. 広告・プロモーション関連区分

この区分は、IPコラボレーション、テーマイベント、ブランドプロモーションなどをカバーします。広告宣伝、異業種コラボ、ファンイベントの実施時に、ブランドの権利が侵害されないようにするための施策です。商業パートナーとの権利関係を明確にし、アニメ作品の市場知名度やブランド価値を向上させるとともに、多様なビジネスモデルの展開を可能にします。
主な該当区分:

第35類(広告、商業管理サービス)

第41類(文化、教育、エンターテイメントサービス)

コラボ企画に応じて、第30類(食品)、第32類(飲料) も追加

まとめ

『銀魂』の商標登録事例は、アニメIPの商標区分を戦略的に配置することで、異なる市場における商業的権益を保護・拡張できることを示しています。集英社は、日本国内では核心区分の多区分出願を採用し、中国市場では需要に応じて登録範囲を調整・拡大する戦略を取ってきました。これにより、従来の文化・エンターテイメント商品や派生グッズのみならず、デジタルコンテンツ、コラボレーション、食品・飲料などの新興分野も保護対象に含めています。さらに、防御的登録を複数の区分で行うことで、第三者による商標の悪用を未然に防ぐ対策も講じられています。こうした先見性と包括的な保護戦略は、IPの法的権益を確保するだけでなく、ブランドの持続的な発展や新たな商業モデルの開発を支援するものであり、他のアニメIPが中国市場で商標出願を行う際の貴重な参考となるでしょう。

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