国家知識産権局(CNIPA)は2025年7月18日、改正版「商標登録出願早期審査弁法」を公布し、公布日より施行されることになった。今回の改正は、審査プロセスを最適化し、国家の利益、社会公共の利益、および重要な地域発展に関わる商標登録の効率を向上させることを目的としているという。
今回の主な改正点は下記のとおりである。
適用範囲の拡大
商業航空宇宙、低空経済、深海技術等の戦略的新興産業、又はバイオ製造、量子技術、身体化知能、6G等の未来産業に係る出願で、商標の専用権取得が緊急に必要である場合。
省政府が推進する近代的産業システム又は新たな生産力の開発を中心とする産業チェーンに係る出願で、既に商標が使用されている場合。
商標種類の追加
登録出願に係る商標が、文字、図形、アルファベット、数字、又はこれらの要素の組み合わせから構成されてもよい。
指定商品又はサービス項目範囲の拡大
指定商品又はサービス項目が、第2条に掲げる状況と密接に関連し、かつ、(「類似商品 及び 役務 の区分表 」に掲載された規範名称)国家知識産権局に認められる商品又はサービスの名称であること。
審査用件を満たさない場合の通知期限の明文化
要件を満たす申請については、国家知識産権局は20営業日以内に審査を完了する。要件を満たさない申請については、申請者に5営業日以内に通知する。
本弁法は、戦略的新興産業および未来産業への支援の追加、電子申請要件の明確化などにより、審査範囲の拡大と審査プロセスの最適化を図っている。
-付録-
「商標登録出願早期審査弁法」全文和訳
第1条 本弁法は、「中華人民共和国商標法」及び「中華人民共和国商標法実施条例」の関連規定に基づき、商標業務の実際状況と結び付けて制定され、国の高品質な発展に貢献し、知的財産権分野の改革に関する意思決定制度を実施してイノベーション環境とビジネス環境を最適化し、知的財産審査の質と効率を継続的に向上させ、商標とブランド戦略を深く貫徹し、国家の利益、社会公共の利益又は重大な地域発展戦略に関わる商標登録出願を法に基づき速やかに審査し、審査モデルを革新し、審査プロセスを改善することを目的とする。
第2条 商標登録出願は、次の各号のいずれかに該当する場合、早期審査を申請することができる。
(1) 商業航空宇宙、低空経済、深海技術等の戦略的新興産業、又はバイオ製造、量子技術、身体化知能、6G等の未来産業に係る出願で、商標の独占権取得が緊急に必要である場合。
(2) 国家又は省レベルの重要プロジェクト、重要科学技術インフラ、重要イベント、重要博覧会、重要文化遺産等の商標に係る出願で、商標保護が緊急に必要である場合。
(3) 省政府が推進する近代的産業システム又は新たな生産力の開発を中心とする産業チェーンに係る出願で、既に商標が使用されている場合。
(4) 特に重大な自然災害、特に重大な事故・災害、特に重大な公衆衛生事件、特に重大な社会保障事件等の公共の緊急事態への対応に直接関連する場合。
()良質な経済社会の発展に貢献し、「知的財産強国大綱」の実施を促進するための確かな必要性がある場合、または国益、社会公共の利益、主要な地域発展戦略の維持に重要で実質意義を持つその他の場合。
第3条 商標登録出願の早期審査を申請する場合は、同時に次に掲げる条件を満たさなければならない。
(1) 出願人全員の同意があること。
(2) 電子方式で申請を提出すること。
(3) 登録出願に係る商標が、文字、図形、アルファベット、数字、又はこれらの要素の組み合わせから構成されていること。
(4) 指定商品又はサービス項目が、第2条に掲げる状況と密接に関連し、かつ、国家知識産権局に認められる商品又はサービスの名称であること。
(5) 優先権主張がなされていないこと。
(6) 出願が団体商標又は証明商標に係るものではないこと。
第4条 商標登録出願の早期審査を申請する場合、次に掲げる資料を紙方式で国家知識産権局に提出しなければならない。
(1)商標登録出願に係る早期審査申請書
(2)本弁法第2条の規定に適合することを証明する関連資料
(3)中央・国家機関の関連部門、省政府又はその弁公庁が発行した早期審査申請に関する推薦意見書、又は省知的財産管理部門が発行した早期審査の申請理由と関連資料の真実性に関する審査意見
第5条 国家知識産権局は、早期審査の申請を受理した場合、申請書類を厳格に審査する。本弁法の規定に適合している場合は、早期審査を許可する。申請が本弁法の規定に適合していない場合は、早期審査を拒否し、早期審査の申請者に5営業日以内に通知する。
第6条 国家知識産権局は、早期審査を認める場合、審査は20営業日以内に完了しなければならない。早期審査を認めない場合、審査は法律で定める一般手続に従って行う。
第7条 早期審査の過程において、商標登録出願が次の各号のいずれかに該当すると判明した場合、早期審査手続を終了し、法で定める通常の手続に沿って、審査を行うことができる。
(1)法に基づき、商標登録出願に対して、補正、説明或いは訂正を行う必要がある場合、及び、同日出願の審査手続を行う必要がある場合
(2)商標登録出願人が早期審査申請を提出した後、審査の猶予を請求した場合
(3)その他の早期審査ができない事情が存在する場合
第8条 早期審査された商標登録出願について、法により審査結果が出された後、法律の関連規定に基づき、関連主体は初歩登録査定を経て公告された商標登録出願に対して異議申立を行い、又は、拒絶或いは部分拒絶された商標登録出願に対する拒絶査定不服審判を請求することができる。
第9条 国家知識産権局は、商標登録出願の早期審査業務において、法に基づく職務の履行、公平な権力行使をしなければならず、規律監察部門の監督を受け入れ、その監督の下、早期審査業務が規範的かつ透明性をもって運営されるよう確保しなければならない。
第10条 本弁法に関しては、国家知識産権局が解釈に係る責を負う。国家知識産権局商標局は、商標登録出願の早期審査に係る具体的な業務を担当する。
第11条 本弁法は公布の日から施行する。商標登録出願の早期審査に関するその他の規定が本弁法と矛盾する場合は、本弁法に準ずる。従来の「商標登録出願早期審査弁法(試行)」(国家知識産権局公告第467号)は同時に廃止される。
出所:国家知識産権局公式サイト
The content of this article is intended to provide a general guide to the subject matter. Specialist advice should be sought about your specific circumstances.