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13 February 2023

H-1BのCAPシーズンにおける10のヒント

DW
Dickinson Wright PLLC

Contributor

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来る3月に熱狂的なシーズンがやって来ます!といっても、バスケットボールの話ではありません。待ちに待った2024年度のH-1BプログラムのCAP(抽
United States Immigration

はじめに

来る3月に熱狂的なシーズンがやって来ます!といっても、バスケットボールの話ではありません。待ちに待った2024年度のH-1BプログラムのCAP(抽選)のシーズンです。多くの人がNCAAのバスケットボールの対戦表を大胆に予想する一方で、人事担当者は当選または落選した従業員を確認することになるでしょう。今年のH-1BプログラムのCAPは、新たなH-1B登録システムが採用されてから4年目となりますので、サプライズだらけといった状況にはならないでしょう。しかし、従業員も雇用主も「3月の熱狂」のシンデレラストーリーを期待しているはずです。

H-1Bプログラムとは、米国での学士号取得を必要とする「専門職」に就く外国人を、雇用主が一時的に雇用するための制度です。この制度の対象となる専門職は、科学、技術、工学、数学といった分野(STEM)から、ビジネス、マーケティング、会計等の様々な分野に及びます。一般的に、雇用主は3年単位で最長6年間の就労許可を申請できますが、一部例外もあります。

毎年3月、米国移民局(USCIS)は最低14日間のH-1B登録期間を設定し、憧れのH-1Bビザ番号の取得に挑戦できる機会を提供しています。2024年度のH-1Bビザ登録申請期間は、2023年3月1日正午から3月17日正午(いずれも米国東部時間)までとなっています。雇用主が従業員に代わってH-1B登録申請を行うことができるのは、この期間に限られます。1990年にH-1Bビザが創設されて以来、米国議会は各年度のビザ発給数を制限してきました(H-1B Cap)。現在の年間上限数は6万5000人分となっていますが、米国の高等教育機関で修士号または博士号を取得した外国人に対しては、更に2万人分のビザが割り当てられています。

H-1BCapシーズンに向けて確認するべき10のヒント

  1. まず、米国議会によるビザ発給上限数の引き上げがない限り、当選確率がかなり低いということを念頭に置く必要 があります。もし、H-1Bの申請を検討している従業員 が、F-1ビザのOPT(STEM)の対象者である場合に は、H-1Bの登録申請を1年遅らせることを検討してもよいでしょう。というのも、スポンサーシップ無しに最長3年間、勤務することができるからです。また、雇用主は、従業員に当選機会を複数回与えることができるよう、できるだけ早く抽選に参加するかを検討する必要があります。
  2. 雇用主1人当たりのH-1Bプログラム登録申請については、上 限数は設けられていません。ただ、1人の従業員に対して複数の登録申請をすることはできません。
  3. H-1Bプログラムの登録申請は、USCISの登録用ウェブサイト から指定された登録期間中に限り行うことができます。初めて申請する場合には、USCISの登録用サイトで雇用主のアカウントを作成する必要があります。アカウントを作成できる期間については、USCISから別途発表されます。システム上の遅延やクラッシュ等を避けるためにも、アカウント作成はできる限り早く行った方が良いでしょう。
  4. USCIS登録用ウェブサイトにアクセスしにくい場合には、ア カウントにログインする前に別のブラウザを試す か、Cookieをクリアまたは削除してください。過去にはGoogleとSafariのブラウザで問題が発生したとの報告が確認されています。なお、Firefoxの信頼性が高い傾向にあります。
  5. 登録申請期間の最終日まで待たないでください。繰り返しになりますが、申請期限前にウェブサイトが不安定になった り、クラッシュする可能性もあります。
  6. H-1Bプログラムに登録申請し当選した場合、その権利を譲渡することはできません。実際にH-1Bの登録申請書を提出した雇用主によってのみその先の手続を進めることができます。
  7. 有効なH-1Bのスポンサーシップの要件として、①専門性のある職務に関するジョブオファーがあること、②その職務または類似の職務に就くアメリカ人従業員を雇う際には学士号以上の学位習得が必要最低限の条件となっていることが求められます。もっとも、214.2(h)(4)(ii)に基づく実務経験評価による代替オプションもあります。
  8. 勤務地における平均的な賃金(同様のポジションが基準となります)を支払うための十分な資力を有する合法的な雇用主であることが求められます。テレワークの場合も考えられますが、在宅勤務の場合であっても、平均賃金が高い大都市から勤務をする場合には、その高い賃金を支払う資力があるかを問われることになります。
  9. 夏頃にOPTによる就労許可が切れるF-1ビザの学生がH-1Bに当選した場合は、10月1日まで自動的に就労許可が延長されます (CapGapWorkauthorization)。もっとも、F-1ビザに基づくOPT就労許可の期限が切れる前にUSCISに請願書が提出され、かつ受理されたH-1Bの申請のみが対象となります。
  10. I-9コンプライアンスの観点から、上記の学生の就労許可延長は、 H-1Bの手続が保留中であっても、9月30日に終了します。

どの従業員のためにH-1BCapの登録申請をすべきか?

H-1B capの登録申請は、通常は初めてH-1Bを申請する労働者が対象となります。以前にH-1BCapに当選したH-1B労働者は含まれません。以下に該当する労働者は、H-1Bステータスに移行する(Cap抽選のために登録する)ことで恩恵を受けることができる可能性があります。

・F-1OPTの就労許可を有する者。毎年のH-1BCap抽選の対象となる最も一般的な労働者のカテゴリーです。大学または大学院の新卒者が典型例です。

・H-1Bcapの対象外の労働者。仮にH-1BCapの対象外の労働者であっても、雇用主がH-1BCapの対象会社となってしまう場合には、H-1Bの抽選のために登録申請をする必要があります。

・TN(カナダ/メキシコ専門職、E-1/E-2、O-1ビザ、H-1B1ビザ

(チリ人、シンガポール人)の保有者。これらのビザについてはDualIntentとはみなされません(永住の意思と非永住の意思が両立しないビザ。すなわち。これらのビザの保有者は、駐在期間が終わったら本国へ戻る意思を有しているとみなされます)。したがって、これらのビザを保有する労働者に対してグリーンカード申請のスポンサーシップを検討している場合には、H-1BCapの抽選に登録することを検討した方が良いかもしれません。

・L-1Bビザ保有者。もし、5年間の最長滞在可能期間が迫っている場合には、H-1Bビザへの変更によって恩恵を受けることができます(H-1Bビザは最長6年間滞在可能)

・H-4/L-2労働者。H-1BまたはL-1ビザ保有者の配偶者は、H-1Bステータスへ移行することによって恩恵が受けられるかもしれません。H-1BまたはL-1ビザを持っている本人の最長滞在可能期間が迫っている場合や解雇等の危機にさらされている場合であっても、H-1Bを取得することで、H-1B/L-1を保有する本人の雇用主の意向に左右されることがなくなります。

・一時的な就労許可を有するインドまたは中国国籍を有する非移民労働者で、永住権の取得を希望している者。インド、中国国籍の方に発給されるビザの発給手続が現在滞っているため、H-1B

ステータスに移行した後もビザの取得に至らない場合には、6年間を超えた滞在延長を申請できます。

H-1B 抽選、当選に関するプロセス

雇用主が労働者に代わってH-1B登録申請書を提出した場合、登録申請期間が終了するとUSCISによる抽選手続が開始されま

す。USCISはビザ発給数の上限(6万5000人)を満たすために必要な数の登録者を選出します。USCISはコンピューターによって無作為に当選者を決定します。惜しくも抽選に外れてしまっても、登録者が上級学位(修士号または博士号)を有する場合には、別の抽選にかけられます(別途設けられた2万人枠に関する抽

選)。

85000人へのビザ発給は、熟練した知識やスキルを持つ外国人を雇用するには便利なものですが、十分なものとまでは言えない状況です。毎年、登録申請者数がビザ発給上限数をはるかに上回っています。2020年に導入された新制度によって登録申請が簡素化されたことも、登録申請数の増加の一因となっていま

す。過去3年間に提出されたH-Bビザの登録数は以下の通りです。

2023年度:483,927件

2022年度:308,613件

2021年度:275,000件(概算)

なお、2020年度に新登録制度が導入される前の2020年度については、2019年4月1日から5日までの申請期間において、201,011件もの登録申請が受理されています。登録申請数は2019年から2倍以上となっており、当選確率は約17.5%となっています。

H-1Bの登録申請者数の着実な増加は、USCISの登録料が1人あたり10ドルと安価であること、雇用主が登録申請できるウェブ上の手続が合理化されていること(一度の登録で最大250人分の申請が可能)などに起因します。また、新たな登録制度が導入されてから4年目を迎え、雇用主が登録申請手続に慣れてきたこともあ

り、労働者が自分に代わってH-1B登録を申請してくれる雇用主を見つけることが容易になったという事情もあるかもしれません。もちろん、現在も、経済的な懸念や継続的なレイオフがあることから、登録申請数の増加に関する懸念が緩和されることがあるかもしれません。また、手数料を引き上げる規則案もあることから、今後の情勢が変わる可能性もあります。

登録期間の終了後、雇用主は3月31日までに当選者の通知を受け取ります。H-1Bに基づく雇用開始日は10月1日からとなり、また、4月1日から当選者に関する請願書提出を行うことが可能で

す。当選した場合に90日以内にこの申請をすることが求められます。この期間内に申請しなかった場合には、別途の機会が設けられない限り、再度H-1Bの抽選に登録しなければなりません(昨年度は別途の抽選機会は設けられませんでした)。

2024年度のH-1B申請を検討される場合には、なるべく早く開始することをお勧めします。弊所移民チームは、目的達成のための最適な選択肢を検討するためのお手伝いをすることが可能です。

今年のH-1B登録者の幸運をお祈りします!

The content of this article is intended to provide a general guide to the subject matter. Specialist advice should be sought about your specific circumstances.

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