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10 July 2020

5月1日から実施されている新「証拠規定」の知的財産権訴訟に対する影響

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5月1日から実施されている新「証拠規定」の知的財産権訴訟に対する影響
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最高人民法院は2019年12月25日に『「民事訴訟証拠に関する若干規定」を改正する決定』(以下、新「証拠規定」と略称する)を公布し、2020年5月1日から実施するようになった。新「証拠規定」の改正が多く、旧「証拠 規定」の41条文を改正し、また47の新しい条文も追加した。本文では、知的財産権訴訟に係わる改正内容について説明する。

一、自認の知的財産権訴訟において、案件の事実に対する当事者の自認は、通常、会社の宣伝または訴訟の裁判に反映される。特に、被告が自社の公式ウェブサイトやパンフレットに販売データや営業状況を展示したことなどから、侵害が自己認識とみなされ、侵害の利益の根拠となるかどうかが確認されると、大きな論争が存在する。

知的財産案件で証拠の入手が困難であることを考慮し、侵害と闘い、可能な限り封じ込め、権利保有者の権利を最大限に保護する観点から、一部の司法機関は、対応する司法措置を取っている。例えば、「北京高級人民法院による商標権侵害民事係争案件の審理における若干問題に係わる回答」において、「被疑侵害者が新聞や雑誌などのメディアで宣伝した被疑侵害商品の販売量を販売された被疑侵害商品の数量を判断す参考資料とすることができるか」に対する明確な回答を記載した。即ち、「その他の根拠がない場合、被疑侵害者が関連メディアで宣伝した販売量をその被疑侵害品の販売数量を確定する参考資料とすることができる。」これは、ある程度、当事者の自認に対する確認である。

収益に対する当事者の自らの宣伝について、当事者の自認と看做し、確実な証拠がない場合、反言してはならない。新「証拠規定」における自認に関する規定は、上記知的財産権訴訟における自認に関する規則と司法実践を更に確認、改善した。

新「証拠規定」で適用範囲が明確された。訴訟において、一方の当事者が自分に不利な事実を陳述した、又は自分に不利な事実を明確に承認したことは自認に該当する。この場合、相手の挙証義務を免除する。新「証拠規定」第三条には、自認の適用範囲が挙げられている。即ち、「証拠交換、尋問、調査において、或は、訴状、答弁状、代理辞などの書面書類において、当事者は自分に不利な事実を明確に承認した場合」に自認の規定を適用する。

新「証拠規定」で、代理人に自認を委託することに関する規定を改正した。元「証拠規定」により、授権を受けていない代理人の事実に対する承認は相手の訴訟請求を承認したことになった場合、当事者の自認と看做さない。新「証拠規定」では、この規定を削除し、「委任状で明確に排除した事項は除き、訴訟代理人の自認が当事者の自認であると看做すべきである」に改正した。即ち、委任状で明確に排除していなければ、訴訟代理人の自認が当事者の自認であると看做すべきである。訴訟代理人が法廷審理で慎重に意見を発表し、でたらめの自認により当事者に不利な法的結果をもたらすことに注意すべきである。また、新「証拠規定」で、共同訴訟中自認、条件限定自認に係わる規定を追加し、自認撤回の条件を改正した。

二、電子データについて

知的財産権訴訟において、権利者の権利所属に係わる知名度の証拠でも、権利侵害の証拠でも、

電子データの証拠が益々多くなっている。新「証拠規定」には、電子データの範囲を追加し、審査規則を明確にした。これは知的財産権訴訟審理の法律根拠になった。

新「証拠規定」第14条により、電子データには、①ウェブサイトのようなネットワークプラットフォームにおいて発表された情報、②電子メールなどのネットワーク上の通信情報、③登録情報などの履歴情報、④ドキュメントなどの電子ファイル、⑤その他ディジタルの形式で記録、処理、発送され、案件の事実を証明できる情報、が含まれる。

新「証拠規定」では、電子データの審査規則を明確に規定した。第93条では、電子データの真実性を判明する際に、いくつ考慮される要因が示される。例えば、①電子データを生成、保存、発送するコンピュータシステムのハードウェア、ソフトウェア環境の完備性、安定性、稼動状態、②電子データを記録、発送、ピックアップするの主体と方法の信憑性、③電子データは、正常なビジネス活動において生成されるか、などが考慮される。また、第94条では、いくつの特別な状況で、人民法院は電子データの真実性を推定できると定める。例えば、電子データは、その電子データを記録・保存する中立した第三者プラットフォームにより提供されたり、電子データの内容が公証機関により公証されたりとすれば、反対する証拠がない限り、その電子データは真実なものと認定する。

三、「書証提出命令」について

「書証提出命令」とは、民事訴訟法司法解釈で規定されている通り、書証が相手当事者によりコントロールされる場合、立証責任を負う当事者は、かかる書証の提出を求めるよう、人民法院に対して申立てをすることができ、その申立てが認められる場合、人民法院は、相手当事者に対して、書証提出命令を発する制度である。

なお、新「証拠規定」では、更に具体的な適用ルールが定められた。第45条には、書証提出命令申立書の記載内容として、かかる書証のタイトル又は内容、この書証に基づいて証明しようとする事実及びその事実の重要性、相手当事者はこの書証をコントロールすると思われる根拠及びこの書証を提出すべき理由など明確に規定された。また、第46条には、人民法院が当事者の提出した書証を審査する際に、相手の当事者の意見を聞かなければならなく、また必要な場合、双方当事者に証拠の提供、弁論を求めることができる。当事者が提出した書証が不明確、書証が証明しようとする事実に対する証明が不必要、証明しようとする事実が裁判結果に実質的な影響がない、書証が相手の当事者にコントロールされていない又は本規定第47条を満たしていない場合、人民法院は許可しないものとする。と規定されている。

また、第47条により、書証をコントロールする当事者は下記の書証を提出しなければならない。①書証をコントロールする当事者は訴訟において引用した書証、②相手当事者の利益のために作成した書証、③相手当事者は法律の規定に基づいて閲覧、獲得する権利を持っている書証、④帳簿、ソース・ドキュメント、⑤その他人民法院が提出すべきと思われる書証。

もし、書証をコントロールする当事者は正当な理由がなくて人民法院の提出命令を拒否すれば、第48条の規定によって、その相手当事者が主張した書証の内容は真実なものであると認定される。

四、「期限徒過後の証拠提出」に対する処罰について

新「証拠規定」には、「期限徒過後の証拠提出」に対する処罰を追加した。第59条により、人民法院は期限までに証拠を提出しなかった当事者に対して罰金を科する場合、期限までに提出しなかった主観的な過失の深刻さ、訴訟を遅延させる状況、訴訟金額などの要素を考慮して罰金額を確定することができる。

五、「虚偽の陳述」について

誠実信用の原則を実施し、当事者の虚偽の陳述を回避するために、新「証拠規定」では「虚偽の陳述」に対する処罰、当事者に誓約書への署名及び読み上げることを命じることが規定された。

新「証拠規定」第63条により、当事者は事件の事実について真実かつ完全な陳述をしなければならない。当事者の陳述とこれまでの陳述とが一致しない場合、人民法院はその理由の説明を命じるとともに、当事者の訴訟能力、証拠及び事件の具体的状況を結び付て審査・認定を行わなければならない。当事者が故意に虚偽の陳述をして人民法院の審理を妨害する場合、人民法院は情状に基づき、民事訴訟法第111条の規定に基づき処罰しなければならない。

第65条により、人民法院は尋問前に当事者に誓約書に署名し誓約書の内容を読み上げることを命じなければならない。誓約書は事実に基づき陳述し、隠蔽、歪曲、増減が全くなく、虚偽の陳述がある場合処罰などを受けなければならないなどの内容が明記されていなければならない。当事者は誓約書に署名し、捺印しなければならない。当事者に正当な理由があり誓約書を読み上げられない場合、書記官が読み上げると共に説明する。

Originally published 2020-06-29.

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