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商標を出願する際に、出願人が複数のデザインの中から一つを決めることができなければ、すべてのデザインを商標として出願するのは可能です。また、商標を使用していく中でデザインを変更することもあり、その場合、新しいデザインを改めて商標として登録することも多いです。すなわち、商標権利者が同一または類似の商標について複数のデザインを保有しているものの、実際に使用されているのはそのうちの一つのみであることがよくあります。
このような状況におけるリスク
例えば、使用されていないデザインの商標は不使用取消請求を受けた場合、実際に使用されている別のデザインの使用証拠をもって当該商標の登録を維持できるでしょうか?
この問題について、『北京市高級人民法院による商標の権利付与・権利確定に係る行政事件の審理ガイドライン』第19.13条には以下のように明確に規定しています。
「係争商標の権利者が複数の登録商標を保有し、その実際に使用する商標が係争商標とは細微な差異しかないが、それが権利者の他の登録商標に対する使用であると確認できる場合は、係争商標の登録を維持する旨の主張を支持しないことができる。」
つまり、商標権者が同一の商品について細かい差異しかない複数の登録商標を保有している場合に、そのうちの一つの商標のみを実際に使用しているのであれば、他の細かい差異がある登録商標の登録を維持することはできません。
下記二つの不使用取消審判案件では、国家知識産権局がこの規定に従って、商標取消の決定を出しました。
審決一 商評字「2025」第0000145903号
審決二 商評字「2025」第0000099959号
実は、上記の審決二において、係争商標「太古地产」の「地产」は「不動産」の意味をし、商標として識別力がありません。一方、権利者の他の登録商標「太古里」の「里」は「里弄」(上海などの旧市街における建物間に挟まれた細い通路)の略称であり、商標としての識別力も弱いです。権利者の立場からすれば、「太古里」の使用証拠は「太古地产」の使用証拠として認められるべきように思われるかもしれません。しかしながら、係争商標「太古地产」は権利者の商号であり、「太古里」は権利者が展開する一つの不動産プロジェクトであると見なされやすいため、「太古里」の使用証拠をもって係争商標「太古地产」の登録を維持することは不合理です。
『商標法』の関連規定によりますと、商標の実際の使用様態は商標登録証に記載されている様態と一致しなければなりません。商標権利者にとって、不使用を理由とした取消のリスクを回避するために、下記のポイントに留意する必要があります。
1、複数の登録商標を保有している場合、それぞれの商標を別々に使用する必要があります。
2、商標の実際の使用様態が登録様態と一致しているかどうかを定期的にチェックし、使用証拠を収集・保存する必要があります。
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