9月14~20日の「国家サイバーセキュリティー啓発週間」に合わせ、中国最高人民法院は9月16日、ネットワーク上の権利侵害をめぐる典型事例4件を公表した。AIなどネット技術の発展に伴い生じる新たな侵害紛争について、裁判例を通じて法的責任の境界を示した。
このうち、「著作物情報ネットワーク伝播権」をめぐり、AI検索サービス提供者の責任が争われた事例がある。被告企業はアルゴリズム登録済みの大規模言語モデル(LLM)を基盤に、検索拡張生成(RAG)技術を用いたAI検索エンジンを開発・運営していた。ユーザーが特定のドラマ作品を検索したところ、検索結果の最上位に、第三者のオンラインストレージに保存された海賊版動画へのリンクが表示された。権利者から通知を受けた同社は当日中に当該リンクを削除した。
裁判所は、オンラインストレージ上の共有リンクによる動画の提供は権利者の権利を侵害すると認定した一方、検索サービス提供者は当該侵害動画やリンクを自らアップロードしておらず、直接侵害には当たらないと判断した。また、現時点の技術ではAI検索エンジンが侵害情報を自動的に識別することは困難であり、同社は侵害を知った後、速やかに有効な措置を講じたことから、侵害幇助にも当たらないとした。
最高人民法院は本件を通じ、検索エンジンサービス提供者には、アルゴリズムやデータに関する優位性の程度に応じた注意義務があり、RAG技術のアルゴリズムの適法性について、より重い立証責任を負うと示した。一方、検索情報を自らアップロード、編集、推薦しておらず、侵害を知った後に速やかに対応した場合、侵害の故意・過失が認められず、侵害責任を負わないとの判断を示した。
出所:最高人民法院公式サイト
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