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5 June 2023

技術秘密侵害に基づく特許権の帰属を主張する案件の審理について

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Kangxin

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最近、最高人民法院の知的財産権法廷は、「タイヤ製造機械」の特許権をめぐる紛争に関わる3件の訴訟を結審した。この3件の判決は、技
China Intellectual Property

最近、最高人民法院の知的財産権法廷は、「タイヤ製造機械」の特許権をめぐる紛争に関わる3件の訴訟を結審した。この3件の判決は、技術秘密侵害に基づく特許権の帰属を主張する場合の裁判の考え方を明らかにした。

 上記3件の訴訟は、それぞれ薩馳智能装備股份有限公司(以下、薩馳公司)の特許番号が201410624213.1である「トレッド部品供給システム」という名称の発明特許権、特許番号が201610332841.1である「コンベヤベルトストランド層の配向補助装置」という名称の発明特許権、及び特許番号が201620457270.Xである「コンベヤベルトストランド層の配向補助装置」という名称の実用新案権に関わる。VMI オランダ社 (以下、VMI 社) は、自社の開発して、技術秘密として保護しているタイヤ成形機に適用される「ベルトドラム垂直および水平横移動ラミネート材料システム」と「コンベアベルト層の補助方向ローラー機構」が先行の発明であり、技術秘密に関わるこの先行技術を上記3件の特許・実用新案として出願した薩馳公司が、自社の技術秘密を侵害したと考えている。よって、一審法院に上記3件の訴訟を提起し、この3件の特許権・実用新案権がVMI 社に帰属することを主張した。

 一審法院は、VMI社が、その主張した技術秘密関連の先行技術を薩馳公司が不法占拠したことを証明できなかったとして、3件の訴訟すべて却下した。VMI社は、不服として上訴し、一審法院が立証責任を不適切に配分したこと、本件特許の技術案が自社技術秘密関連の先行技術と実質的に同じであり、しかも薩馳公司が当該先行技術に接触する可能性があり、且つ実施に接触したことを既に証明したことを主張した。

 最高人民法院は二審で、下記のように認定し判決を下した。VMI社の主張した先行技術が技術秘密に該当し、薩馳公司が特許出願日の前に当該先行秘密関連技術に接触する機会とルートを有していたことが証明された、本件特許の技術案が当該秘密関連技術と実質的に同一であり、しかも当該秘密関連技術が本件特許の技術案の実質的内容を構成している。したがって、薩馳公司は、本件特許の技術案が自社の独自に開発したものであると主張したが、その提出したいわゆる研究開発証拠には、研究の結論のみが含まれており、研究開発の実質的な内容を反映できる手順上の技術データが欠如しており、技術の研究開発の完全過程を十分に反映できず、その独立した研究開発の主張を証明するには十分ではなく、ましてや本件特許の実質的特徴に対する創造的な貢献は言うまでもない。即ち、本件特許に対して法的権利を有するという薩馳公司の抗弁主張は、事実的かつ法的根拠が欠けている。両当事者の挙証責任及び確認された事実に基づいて、薩馳公司が不正な手段によりVMI社の秘密関連の先行技術を入手して本件特許を出願且つ権利取得した事実、この3件の訴訟に関わる特許権がVMI社に属することを認定することができる。よって、上記3件の特許権はVMI社に帰属し、3件訴訟の一審判決を取り消す。 

 最高人民法院は、「技術秘密権利者が、技術秘密の侵害を根拠として当該特許権が自社に帰属すると主張する場合、人民法院が審理の際に、当該特許文献に権利者が主張する技術秘密が開示されているかどうか、又は当該特許技術に当該技術案が使用されているかどうか、および当該技術秘密が特許技術案の実質的な内容を構成しているかどうかなどを審査すべきである。特許文献に当該技術秘密が開示されているかどうかを判断する際、技術秘密の権利者が特許文献に開示された技術案がその主張した技術秘密と同一または実質的に同一であることを証明する証拠を提供し、しかも被告が特許出願日の前に当該技術秘密を取得するルートまたは機会を有していた場合、通常、被告特許権者が不正の手段により技術秘密を取得して開示した事実が成立すると推定できる。この場合、被告は当該技術案を自社で独自開発した、または当該技術案が正当な出所があることを主張すれば、挙証責任を負うべきである。なお、被告は、その主張を十分に証明できる証拠を提出した場合、上記の不法取得及び開示の推定を否定することができ、当該特許権に対して法的権利を有していることも証明できる。逆に、被告がその主張を証明できず、技術秘密権利者の主張した技術秘密が本件特許の実質的内容を構成している場合、技術秘密権利者が当該特許に対して法的権利を有していると判断できる。」と述べた。

出所:最高人民法院知的財産権法廷公式サイト

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