上海知識産権法院(知財裁判所)はこのほど、ECプラットフォームを対象とした「やらせ取引」事件を審理し、被告企業が有料で商品売上や評価を不正に操作するサービスを提供した行為は 不正競争 にあたると判断した。被告に対し、原告のアマゾン社への賠償100万元(約2000万円)を命じた一審判決を支持する判決を下した。
本件は国際EC大手のアマゾンが中国国内で初めて提訴した「やらせ取引」関連訴訟として注目を集めた。被告は複数のウェブサイトやアプリを通じ、出品者向けに有料で「やらせ購入」や「好意的レビュー」を水増しさせるサービスを提供していた。具体的には、購入者に現金還元などの特典を与えることで、実際の使用感とかけ離れた「星5つ評価」を量産させる仕組みだった。
被告側は、同様の争点はすでにドイツで結審しており、中国での訴訟は重複と主張したが、裁判所はこれを退けた。判決では、取引自体は成立していても返金や誘導レビューが介在することで評価が実態と乖離し、消費者判断を誤らせると指摘。市場秩序を乱し、消費者の知る権利を侵害し、中国の「不正競争防止法」第8条に違反すると結論づけた。
本件は、国際的な大手ECが上海で初めて起こした「やらせ取引」訴訟であり、違法業者への強い抑止効果を示すとともに、上海が市場化・法治化・国際化された一流のビジネス環境づくりを推進する姿勢を明確にした。
出所:中国知識産権資訊網
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