特許出願における総合的な実験データの役割について

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 特許出願において、進歩性の有無が権利化できるか否かに影響する一つの重要なポイントである。進歩性に関する答弁において、有益な
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 特許出願において、進歩性の有無が権利化できるか否かに影響する一つの重要なポイントである。進歩性に関する答弁において、有益な技術効果の作用に対する説明ことは重要な答弁方法になる。

 「特許審査指南」には、有益な効果について、特許或は実用新案の構造的特徴に対する分析と理論的説明とを組み合わせること、または実験データを出すことにより説明できる。単に特許或は実用新案が有益な効果があると断言してはならないということが記載されている。しかしながら、特許出願の実践において、実験データは化学分野ではよく使用されているが、機械と電気分野ではあまり使用されていない。

 次の事例で、総合的な実験データの特許出願への重要な役割を説明する。ある特許出願において、請求項1には、「タイヤの転がり円周における前記車両用スノータイヤのスタッドの数がメートルごとに50を超え、前記スタッドの形状と前記車両用スノータイヤのゴム化合物の弾性とにより、前記スタッドにおける貫通力を120 N未満にし、また前記スタッドの端部の断面積を3.14 mm2未満にしていることを特徴とするスタッドを備えた車両用スノータイヤ。」と言う技術的特徴が開示されている。これについて、審査官次のように認定した。請求項1と引用文献1の技術的特徴との区別的技術的特徴が「前記スタッドにおける貫通力が120 N未満」と「前記スタッドの端部の断面積が3.14 mm2未満」であるが、これらの技術的特徴がそれぞれ引用文献2と引用文献3に開示されたため、は、引用文献1、2、及び3を組み合わせることにより上記請求項1の技術的特徴を得ることができる。

 このような保護客体の各特定された特徴は確かに先行技術に個別的に開示されていることが多いため、審査官は、各特徴を分割し、それら間の内部関係を考慮せずに、別々に分析してしまうことも多い。 そのような審査意見に対して、通常の応答要点は、各引用文献を組み合わせることができるかどうか、または当業者がそのような組み合わせを容易に想到できるかどうか、及び各特徴の間の関係を強調することである。また、明細書から関連の記載内容又は実験データをピックアップできれば、各特徴の間の不可分性を更に有力に証明できる。

 

 上記の特許出願について、引用文献1の特徴にはスタッドの数のみが開示され、引用文献2の特徴には貫通力のみが開示され、また引用文献3の特徴には断面積のみが開示されている。つまり、三つの文献とも単一の技術点のみ開示されている。しかしながら、請求項1の技術的特徴においては、摩耗の低減とグリップの向上ができるより良い技術的効果を得るために、上記3つの技術点を総合的に考慮して適切なパラメータ範囲を決定したことである。しかも、サポート用件として、明細書には、これら3点により行った実験データテーブル及びグラフも開示されている。このケースの実験データテーブルにより、上記3点を総合的に考慮して異なるパラメータを決定すると、車両用スノータイヤの性能も異なるようになることを確認できる。したがって、性能が優れた車両用スノータイヤを得るために、必ず上記3点を総合的に考慮して実験を行う必要がある。よって、実際に、当業者は、上記3点を考慮せずに引用文献1、2及び3の特徴のみ組合わせてパラメータ範囲をテストしたとしても、上記3点を同時に考慮して始めて得られる適切なパラメータ範囲を得ることができない。よって、当該出願の進歩性は、各特徴を総合的に検討して得た技術思想でにより反映されているものである。また、各特徴は不可分であり、行われた創造的活動は実験データにより完全に証明できることがわかる。したがって、電気・機械分野の特許出願においても、実験データは有益な技術的効果に有力にサポートすることができるので、進歩性に関する抗弁で、ある程度に補足することができる。

 要するに、特許出願に先立って、出願人が個別な実験データのみを提供し、上記のような総合的な実験を行うことを検討しなかった場合、代理人(弁理士) は、可能であればそのような実験を行い、総合的な実験データを補足することを出願人に提案すべきであると思われる。つまり、 出願人も代理人も、技術的効果及びその実現手段に係わる実験データ、特に総合的な実験データに重視したほうが良いと思われる。

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