文化庁、「AIと著作権に関する論点整理について」を公表

1 はじめに

 近時、Chat GPTを始めとする生成AIが注目を集めており、企業や個人等による利用の動きが加速している。このように生成AIが社会に浸透していく中で、その利用をめぐる法的な問題についても各国での議論が活発化している。また、生成AIと著作権をめぐる紛争もすでに生じており、たとえば米国では、アーティストが、Stable Diffusionという画像生成AIの開発元であるStability AI社等に対し、著作権侵害等を理由に訴訟を提起している 1

 そのような状況下で、文化庁は、令和5年6月に「AIと著作権」と題し、現行著作権法の考え方やAIと著作権の関係に関する講演を行った 2

 また、令和5年7月26日には文化庁の第23期著作権分科会法制度小委員会の第1回が開催され 3、同小委員会ではAIと著作権に関する論点の整理が行われた。

 本稿では、同小委員会における配布資料である「AIと著作権に関する論点整理について」(以下「本資料」という。) 4を踏まえ、生成AIを開発・利用する場合の著作権法上の論点の整理状況を概観する。

2 生成AIの開発・利用における著作物の主な利用形態と法的論点の整理

  本資料では、生成AIの開発・利用に関して著作物が利用される主な場面・態様について、一般的な一例として、下図のように整理している。

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出典:本資料2頁

 上図の整理の特徴としては、まず、生成AIの開発・利用にかかわる行為者を3つに分類(開発者、サービス提供者、利用者)した上で、行為者の類型ごとに、著作物の利用が問題となり得る主な開発・利用行為の類型を整理している点が挙げられる。そのポイントを纏めると下表のようになる。

Originally published by Shojihomu Portal.

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