1 はじめに
個人情報保護委員会は、毎年所掌事務の処理状況を公表しており、令和6年6月11日、令和5年度の年次報告(以下「本年次報告」という。)が公表された [1]。本年次報告においては、同委員会の組織・所掌事務について概観したうえで、①個人情報保護法等に関する事務、②マイナンバー法 [2]に関する事務、③国際協力、④個人情報保護法・マイナンバー法等に共通する事務、について報告がなされている。以下、これらの内容を概観する。
2 個人情報等に関する事務
令和5年度の年次報告の主な内容は以下のとおりである。
⑴ 法改正等
ア いわゆる3年ごと見直し規定 [3]に基づく検討、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)施行規則の一部を改正する規則等の公布、個人情報保護法についてのQ&A(行政機関等編)の改正が行われた。
イ いわゆる3年ごと見直しの検討の方向性として、個人情報保護委員会による「個人の権利利益のより実質的な保護の在り方」、「実効性のある監視・監督の在り方」および「データ利活用に向けた取組に対する支援等の在り方」の提示、関係団体および地方公共団体からのヒアリングおよび個別の項目についての議論が行われた。
ウ 個人情報保護施行規則の一部改正により、新たにWebスキミングによる情報流出等が、漏えい等報告および本人通知の対象事態となり、それに伴い「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A等の改正が行われた。
⑵ 漏えい等報告の増加
令和4年度における、個人情報保護委員会に対する個人情報取扱事業者の取り扱う個人データの漏えい等事案 [4]に関する報告の処理は4,217件だったのに対し、令和5年度は7,075件であり、漏えい事案等の報告の処理件数が増加している。
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Originally Published by Shojihomu Co., Ltd.
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