技術サービス料およびロイヤルティ(特許権使用料の支払い)に対 する源泉徴収率引き上げの影響

インド税法1により、非居住者/外国企業に対する技術 サービス料(FTS)およびロイヤルティの支払いは、実 効税率10.92%(サーチャージおよび教育セスを含む) で課税されることになりました。

さらに、インド税法2 は、インドが他国と二重課税回避 協定(DTAA)を締結している場合、 DTAA または法律 のうち有益な方の規定を適用すると規定しています。 現在、インドと日本の租税条約では、ロイヤルティと 技術サービス料に対して10%の税率が適用されること になっています。

インドでの確定申告の免除

インドの現地法では、以下の条件を満たす場合、外国 企業/非居住者のインドでの税務申告を免除することが できます:

  • 配当金、利子、ロイヤリティ、技術サービス料のみ から得られる所得。
  • インドの現地法に従って税金が差し引かれます。

以上のことから、非居住者や日本企業は、インドでの 申告が緩和され、その差額がわずか 0.92%10.92%10%)であることから、インドの現地法に準拠するこ とを選択するようになりました。

インドの現地法における最近の改正

インドは最近、国内法を改正しました。その中で、 202341日以降に適用されるロイヤリティ及び FTS の実効税率が10.92%から 21.84%(サーチャージ及び セスを含む) に引き上げられることが決定されました。

これにより、非居住者や外国企業は租税条約の恩恵を 受けざるを得なくなり、条約税率は以前のシナリオと 比較してより有利となります。

通常、租税条約による特典を利用するために、インド の法律では、非居住者/外国企業が Tax Residency Certificate (納税証明書・TRC)とその他の申告書を提出 することが要求されています。しかし、 TRCがインド 法で要求されるすべての詳細を含んでいない場合、 Form 10Fと呼ばれる追加フォームをTRCと一緒に提出 する必要があります。

また、最近、インドの直接税中央委員会( CBDT)は、非 居住者の Form 10F の電子申告を義務化したことも注目 されます。また、 CBDTは、インドで PANPermanent Account Number:インド税務登録番号)を持たない非 居住者に対して、 2023331日まで(現在は2023年9 月30日まで延長)、 Form 10Fを手動で提出することを 一時的に緩和しています。

このため、非居住者や外国企業にとっては、租税条約 に基づく有利な税率を利用するために、Form 10Fを含 むすべての関連書類を電子フォームで提出することが 重要になります。

Form 10Fを電子的に提出するためには、政府ポータル サイトでオンラインアカウントを作成する必要があり、 PANが必要となります。この変更により、租税条約の 恩恵を受けようとするすべての非居住者は、間接的に PANを取得し、必要な書類を提出する必要があります。

上記に加え、インド税法3により、すべての企業はイン ドで税務申告をする必要があります。外国企業の立場 からすると、論理的には、インドから所得を得るすべ ての企業がインドで確定申告をする義務があると解釈 できます。従って、外国企業がインドで PANを持ち、 インドから所得を得、租税条約の恩恵を受けるように なれば、インドで確定申告をする義務が生じます。ま た、インドの現地法ではなく、租税条約に従って源泉 徴収されるため、確定申告の免除は受けられなくなり ます。また、関連者間取引の場合、移転価格に関する コンプライアンスもインドで実施する必要がある。

インドの源泉徴収税率ではなく、租税条約による有利な(低い)税率を利用する。

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今後の展開

インドから所得を得ている外国企業/非居住者は、イン ドでの改正に伴うインドでの税制上の影響を評価する 必要があります。また、租税条約上の優遇措置を受け るための適格性を分析する必要があり、これには受益 権テストや実体テストなどを検討する必要があります。 適格性が明らかになった後は、インドで適切な登録を 行い、すべてのコンプライアンスをインドで実施する 必要があります。A

私たちがお手伝いできること

  • 源泉徴収税への影響と税制最適化措置に関するアド バイス
  • インドでの所得申告書の作成と提出
  • 移転価格税制の遵守のための支援(該当する場合)

Footnotes

1. Section 115A of the Income Tax Act, 1961

2. Section 90(2) of the Income Tax Act, 1961

3. Section 139 of the Income Tax Act, 1961

The content of this article is intended to provide a general guide to the subject matter. Specialist advice should be sought about your specific circumstances.