1 はじめに

 知的財産戦略本部は、2022年11月「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議」(以下「官民連携会議」という。)を設置して議論を重ね 1、2023年5月に「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」(以下「本論点整理」という。)を公表した 2

 これを受けて、内閣府知的財産戦略推進事務局は「本論点整理」の主なポイントを「メタバースプラットフォーマー・プラットフォーム利用事業者向け」 3と「メタバースユーザー・コンテンツ権利者向け」 4に分けて2024年2月13日に公表した(以下「ポイント集」という。)。

 本記事では本論点整理の概要、次の記事では、ポイント集の概要を紹介し、実務への示唆を検討する。

2 本論点整理の検討の視点と基本的な考え方 5

 本論点整理では、官民連携会議における検討の視点として、メタバースの活用により実現する価値と目指すべきメタバースの理念を以下のように提示している。

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出典:本論点整理 4頁

 本論点整理は、目指すべき価値を実現するためのルール形成等の在り方として、「自由で多様性に満ちたメタバース空間」「安全・安心に過ごせるメタバース空間」を実現するために、①利用規約等による対応、②技術による対応、③民事上刑事上の手続きによる対応、④法的措置(行為規制等)による対応を掲げている。

 そして、本論点整理は、法的なルールとして、ガイドライン等をはじめとしたソフトローと法令等のハードローを適切に組み合わせて対応することが必要であるとし、メタバースが変化・発展の途上にあること、メタバース空間には国境がないこと、複数プラットフォームを横断すること等、メタバースの特性をふまえたルール形成が重要になるとしている。

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Originally published by Shojihomu Co., Ltd.

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