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14 February 2022

解雇時の実務上の注意点 | Practical Considerations In Employment Termination

DW
Dickinson Wright PLLC

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有能な従業員を持つことは、雇用主の成功にとって重要な要素ですが、従業員にとっても仕事は重要であり、収入を得る手段というだけで
United States Employment and HR

有能な従業員を持つことは、雇用主の成功にとって重要な要素ですが、従業員にとっても仕事は重要であり、収入を得る手段というだけでなく、自己尊厳と自尊心の源でもあります。そのため、従業員を解雇するということは、訴訟のリスクや職場への影響といった大きな意味を持ちえます。ここでは、解雇に伴う法的な主張や抗弁を分析するのではなく、実務上の検討事項や職場全般の検討事項を取り上げ、解雇時におけるそれらの重要性を確認したいと思います。

実務上の検討事項

解雇を行う際の実務的な検討事項としては、まず能力不十分を理由に従業員を解雇するのであれば、過去にその従業員に良い評価を与えていたり昇給させていたりといった、能力不足を理由に解雇したという雇用主の説明に疑問を抱かせるような記録があるかどうかを確認する必要があります。また、過去に当該従業員その他の従業員について、今回と同様の能力不足の問題があったときにどのように対応したか(見逃されていないか)を確認することも重要です。また、その従業員に解雇の原因となる問題が知らされておりそれに対処する機会が十分与えられたかという点も、その解雇について納得のいく説明がつくかどうかという点から重要です。解雇の正当性が問題になったとき、まずはこのような基本的な説明がつくといった公正なものであるかどうかが審査されます。

これらの他にも、雇用主は、従業員を解雇するという決定に影響を与える可能性のある解雇しないという判断に傾く可能性のある)、例えば以下のような要因にも目を向けるべきです。

  • 解雇検討対象の従業員の上司は、他の従業員とも問題を起こしたことはないか?
  • その上司は管理職としての経験がまだ浅くないか?
  • その上司は、自身の能力パフォーマンスに関して懲戒処分やカウンセリングを受けたことがないか?
  • その従業員の過去の上司(まだ会社に在籍している、既に会社を去ったを問わず)で、その従業員にとって有利な証言をする者がいるか?
  • 他の従業員のなかにも、有利な証言をする者がいないか?
  • 解雇を理由づける証言をする者は、まだ雇用されていて雇用主と良好な関係を築いているか?

解雇が不当であるという訴訟を元従業員から提起された後で、その者の上司が実は解雇されていたであったり、真の(根本的な)問題は、その上司が従業員に対してマネジメントをきちんと行えていなかったことにあったということが分かったというサプライズは、会社にとって望ましいものではないでしょう。

また検討すべき要因の一つには、当該解雇対象従業員のパフォーマンスの問題が、適切にコーチングをしたり懲罰を課すことで矯正されることを期待できるものかどうかという点です。

 

解雇の理由のなかには、職場での暴力やハラスメント、従業員と雇用主の間の信頼関係が損なわれた場合など、もはや雇用継続は不可能といえるほどの重大な問題があるという場合もあるでしょう。

解雇の正当性を審査する者(特に陪審員)は、その決定が公正であったかという観点から審査します。公正さを判断するためには、雇用期間、従業員に改善や説明の機会が与えられていたかどうか、従業員の評価、従業員が定期的に昇給していたかどうか(特にパフォーマンス不足という解雇理由と矛盾するような評価や昇給を受けていたかどうか)など、多くの要素を考慮することになります。

法的な検討以外の検討事項

法的主張の分析や、その法的主張に伴う実務的な検討と同様に、法的なもの以外の点の検討も重要です。雇用者が従業員を解雇するという決定は、最小限の法的リスクで解雇できるからということだけでは決まりません。当該従業員の問題が、職場や会社の従業員全般に与える潜在的な影響を考慮する必要があります。例えば、会社は、当該従業員の上司が困難な決断を下さなければならない時に適切にサポートしているでしょうか。会社が当該従業員に懲戒処分を下さないことで、その従業員の上司の仕事の遂行がより困難になっていないでしょうか。また、ある従業員を解雇しないという決定が下された場合、他の従業員は、その従業員が有利な扱いを受けたと考えるでしょうか。従業員が解雇されることを期待するような行為があった場合、その従業員を解雇しないと、重大なモラルの問題が発生する可能性があります。ある問題が発生したときに、適切に対処しなければ、他の従業員が同様の行為を起こすかもしれないという懸念に繋がらないでしょうか。さらに、(差別禁止法で保護される)保護カテゴリーに属する従業員をその他の従業員と区別して扱っていないか、同様に扱っているか、という点も検討すべきです。

その一方で、もしある従業員が解雇された時には、他の従業員は、それは会社の過剰反応だと感じたり、その解雇された従業員を不当に扱ったのではないかと考え、自分もこのような職場では働きたくないという認識を持つ可能性はないでしょうか。

最後に、社会一般に与える印象についても確認されると良いでしょう。今回問題になった従業員に対して何もしないことで、会社の印象が悪くなるだろうか、逆に解雇することで会社の良い印象に繋がる可能性があるのか。重要なケースでは、雇用主は広報担当のコンサルタントに相談することも考えられます。

雇用主にとっての重要なポイント

解雇は、様々な種類の法的な請求を受ける可能性といった重大な法的リスクを伴います。その法的な問題の検討と同じくらい重要なのは、解雇においては、法的ではない重要な問題が検討されるべきということです。雇用主はその両方を検討し、必要に応じて弁護士に相談する必要があります。

English version here: Practical Considerations in Employment Terminations.

The content of this article is intended to provide a general guide to the subject matter. Specialist advice should be sought about your specific circumstances.

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