連邦巡回控訴裁判所が、デジタルデータの電子的送信へのITCの管轄権を否定

2015年11月10日、米国連邦巡回控訴裁判所は、歯列矯正関連の技術に関する特許権に係る事件(ClearCorrect Operating, LLC v. ITC, 2014-1527 (Fed. Cir. Nov. 10, 2015)において、米国国際貿易委員会(ITC)の権限は、電気通信回線を通じて送信される電磁的データ(electronically transmitted digital data)の輸入には及ばないとの判断を示しました。

本件では、米国国際貿易委員会の輸入に係る権限について規定したSection 337, 19 U.S.C. § 1337(a)における「物品(articles)」の範囲について「物品」に電磁的データが含まれるか否かが争われましたが、米国連邦巡回控訴裁判所は、その多数意見で、同法が立法された1922年当時、同法における「物品」とは有体物が想定されていたと認められること等を根拠に、上記判断を導いています。

今回の米国連邦巡回控訴裁判所の限定解釈により、特許権及び著作権のいずれの分野においても、今後の米国国際貿易委員会の管轄権の範囲に重大な影響を与えることが予想されます。この問題の与える重要性に鑑み、本件は連邦巡回控訴裁判所大法廷又は連邦最高裁判所において更に審理される可能性があります。近年益々日本企業及びその関連子会社がITCにおける紛争当事者になる可能性が増しており、本件判断がソフトウェア関連特許及び著作権の行使に重要な影響を与えることから、ご紹介いたします。

詳細は、Jones Day Alert "Federal Circuit Holds that the ITC Lacks Jurisdiction Over Electronic Transmission of Digital Data"(オリジナル(英語版))をご参照下さい。

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