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20 April 2021

「MARKTEC」商標異議申立における「先行著作権」の適用問題

K
Kangxin

Contributor

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マークテック株式会社(MARKTEC CORPORATION)(以下「マークテック」という)...
China Intellectual Property

MARKTECについて

マークテック株式会社(MARKTEC CORPORATION)(以下「マークテック」という)は、1955年に東京で設立され、「非破壊検査」と「マーキング」に関する製品の製造・販売・サービスを行っている企業である。非破壊検査とは、様々な部品や製品を壊さないで、微細な欠陥を見つけ出し、破壊事故を未然に防ぎ技術である。マークテックは自動車・鋼鉄・航空会社など基幹産業に向けに、品質管理に使用される製品を提供している。2010年、マークテックは中国上海で子会社「マークテック上海探傷設備有限公司」を設立した。

背景 

揚州磁通機械科技有限公司(以下「揚州磁通という」)という会社はマークテックのハウスマーク「1059322a.jpg」と完全に同じである標識を商標として出願した。揚州磁通の事業内容は探傷設備及びその部品の製造・加工・販売・保守などであり、マークテックの事業内容と関連が強くて、マークテックの商標を知りながら抜け駆け出願した可能性は高いと推断した。マークテックは先行著作権侵害を主張し異議を申し立てた。

揚州磁通より出願されたMARKTEC商標:

1059322b.jpg

異議申立の審決

国家知識産権局は、第32129195号と第32140594号「 1059322c.jpg」はマークテックの先行著作権侵害に該当すると認定し、登録を拒絶する旨の審決を出した。理由は下記の通りである。

異議申立人より提出された証拠は、異議申立人が作品「1059322d.jpg」の字体に創造的なデザインをしたことで、作品全体的に独創性を持っていることを証明できるし、異議申立人がその作品に対し先行著作権を有し、かつ被異議申立商標の出願日の前に、異議申立人はすでにその作品を公表したので、被異議申立人はその作品を接触した可能性があることを証明できる。被異議申立商標はし字母構成、字母の表現方法、及び全体的な視覚効果において当該作品と同じで、実質的に類似している。よって、被異議申立商標の登録は異議申立人の先行著作権を侵害した。

康信コメント

商標法第32条により先行著作権を主張しようとする場合、下記の要件を満たさなければならない。

①主張に係わる著作物が著作権法で定義される著作物に該当すること。

②異議申立人がこの著作物に対し先に著作権を享有すること。

③係争商標は主張に係わる著作物に実質的に類似していること。

④被異議申立人が主張に係わる著作物に接触した可能性があること。


本件において、マークテックのハウスマーク「1059322e.jpg」は字母の表現方法がユニークで、高い独創性を有しているため、著作権法で保護される美術著作物に属する。マークテックより提出した「1059322f.jpg」商標の書誌情報、「1059322g.jpg」が表示される製品カタログなどはマークテックは著作物「1059322h.jpg」の先行著作権を有し、且つ揚州磁通の商標の出願日の前に既に公表されたことを証明できる。また、揚州磁通の商標はマークテックの著作物と同一で、しかも揚州磁通はマークテックの同業者としてマークテックのことを知る可能性は高くて、マークテックの著作物に接触した可能性がある。上記の4要素を完全に満たしているため、先行著作権侵害に該当すると認定された。

著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生するものであるため、商標のように審査を経て登録しないと効力を発生しないというわけではない。また、外国で創作された著作物であってもベルヌ条約により中国でも保護されることになっているため、図形又はロゴマークより構成する商標の異議申立、無効審判などの商標権確定案件において、著作権は当事者によく主張される先行権利である。著作権の権利者は、その著作物の公表時間が係争商標の出願日より早いことを証明できる証拠資料(著作権登記証書、著作物を掲載する雑誌、新聞など、中国での証拠に限らない)を提出できれば、異議申立・無効審判の成功率が大幅に引き上げることが出来る。

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