2022年4月、国家知識産権局条法司と国家知識産権局商標局は、商標に関する知識を普及するために、飲食業の商標登録出願と使用に関し、誤認問題、識別力問題および地名を含む問題について詳しく説明し、『飲食業の商標登録出願と使用に関する指導』(以下は「指導」という)を制定した。指導には、誤認を生じさせやすい標識、顕著な特徴に欠ける標識及び飲食業の商標専用権の合理使用が規定された。

一、飲食業に関する商品役務について

飲食業に関する商品役務は、主に第29類、第30類、第31類、第32類、第33類、第40類、第43類の商品と役務である。

二、誤認を生じさせやすい標識について

『商標法』第10条第1款第7号にいう「誤認」とは、商標がその商品又は役務の品質などの特徴又は産地について、その固有程度の特徴を超える表示、又は事実と一致しない表示をし、公衆に商品の品質等の特徴又は産地について誤認を生じさせることを指す。よくある情状は、次のとおりである。

(一) 商品又は役務の品質、等級などの特徴についての誤認;

「有機」、「ORGANIC」、「环保」(環境保護)、「天然」、「NATURAL」、「无污染」(無汚染)、「POLLUTION_FREE」、「極品」(高級)、「第一」、「高級」、「HIGH QUALITY」、「国宴」、「国饮」、「国品」、「国厨」、「国菜」(「国」を含む標識は、国家を代表できる高級なものと誤認させる)などの表現、又は、連続的に並んでいる星やダイヤモンドの図形を含める標識。

(二) 商品又は役務の機能、用途などの特徴についての誤認;

「排毒」(有害要素を排出する)、「降脂」(脂肪を減らす)、「祛湿」(湿気を排出する)、「明目」(目によい)、「清咽」(のどによい)、「代谢修复」(代謝を修復)などの表現を含める標識。

(三) 商品又は役務の種類、原料、成分などの特徴についての誤認;

標識には、通用名称を含め、公衆に商品の種類、原料、成分について誤認を生じさせる。

(四) 商品又は役務の重量、数量、価額、生産時間、工芸、技術などの特徴についての誤認;

例えば、標識には「当日生産」などの表現を含める。

(五) 商品又は役務の内容、性質などの特徴についての誤認;

標識には飲食業の通用名称を含めるが、飲食業と関係ない役務を指定し、公衆に役務の内容などについて誤認を生じさせる。

(六) 地名を含め、商品又は役務の産地などの特徴についての誤認;

市場主体が商品又は役務において地名を使用するのは、主に商品又は役務と地名が示される地域との関係を説明するためであり、かつ、その関係が客観的で、真実である。

なお、標識が地名のみからなり、又は、標識には地名を含めるが、出願人は当該地名が示される地域に由来しない場合、公衆に産地について誤認を生じさせる。

出願人にとっては、上述の言葉や表現は、宣伝しやすいなどのメリットがあり、利用したいですが、上記指導によると、上述の言葉や表現は使用できないものですので、当該言葉を商標として使用することを控えるほうがよいである。

三、顕著な特徴に欠ける標識について

『商標法』第11条にいう「顕著な特徴に欠ける」とは、その商品の通用名称、図形、規格にすぎないもの、商品の品質、主要原材料、効能、用途、重量、数量及びその他の特徴を直接表示したにすぎないもの、及びその他の顕著な特徴に欠けるものを指す。よくある情状は、次のとおりである。

(一) 商品又は役務の通用名称、通常図形に過ぎないもの;

1、商品の通用名称に過ぎないもの。例えば、「パン」、「ケーキ」など。

2、役務の通用名称に過ぎないもの。例えば、「レストラン」など。

3、商品又は役務の通常図形に過ぎないもの。例えば、

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(二) 商品又は役務の品質、原料、機能、用途、重量、数量及び他の特徴を直接表示したもの;

1、商品又は役務の品質を直接表示したもの。例えば、「超うまい」など。

2、商品又は役務の原料を直接表示したもの。例えば、「鳥」など。

3、商品又は役務の機能、用途を直接表示したもの。例えば、「ダイエット料理」など。

4、商品又は役務の重量、数量を直接表示したもの。例えば、「80」など。

5、商品又は役務の他の特徴を直接表示したもの。

例えば、(1)特定消費者を直接表示する「親子レストラン」;(2)価格を直接表示する「一個10元」;(3)内容を直接表示する「水産ラストラン」;(4)風味を直接表示する「重慶ナベ」;(5)使用方法を直接表示する「持ち帰り」;(6)生産工芸を直接表示する「炒め」;(7)生産時間、年分を直接表示する「20220222」;(8)賞味期限やサービス時間を直接表示する「24時間」;(9)経営場所、販売場所、地域範囲を直接表示する「飲食街」;(10)技術やモードを直接表示する「セルフサービス式」など。

(三) その他の顕著な特徴に欠けるもの;

1、飲食業の商品用包装、容器、又は常用修飾性図案。例えば、1193556b.jpg

2、飲食業の商品又は役務の特徴を表示する単語又は宣伝用語。

3、苗字又は苗字と通用名称の組み合わせ。例えば、「王記」

(四) 地名を含めるため、顕著な特徴がなくなる情状;

1、標識が地名のみからなる。

標識が地名のみからなり、飲食業に関する商品又は役務における使用は、出所に繋がり、又は、商標として認識されない場合、出願人は地名が示される地域に由来しても、『商標法』第11条第1款2項又は3項にいう情状に該当する。

2、標識が地名+通用名称からなる。

地名+通用名称からなる標識は、歴史があり、客観的に存在し、産地と密接な関係がある伝統的な特色飲食である場合、それは特定の地域の公衆が共同で創造したもので、特定の主体より独占されるべきではない。通常、『商標法』第11条第1款1項にいう情状に該当する。

(五) 標識には顕著な特徴に欠けるものを含める情状;

標識は、独立した文字部分と他の要素からなり、文字部分が顕著な特徴に欠ける場合、全体として、顕著な特徴に欠けると見なされる。

しかしながら、標識に含めた他の要素が強い識別力を有し、当該要素部分又は全体として商品又は役務の出所を区別できる場合、顕著な特徴に欠ける部分について商標専用権を放棄すると声明できる。声明しない場合、商標として登録してはいけない。

以前、顕著な特徴に欠ける部分+他の要素からなる標識については、全体として顕著な特徴があれば、顕著な特徴に欠ける部分について商標専用権を放棄すると声明しなくても、登録できるが、上記指導によると、商標専用権の放棄を声明しない場合、商標として登録してはいけない。

今後、商標を出願する際に、顕著な特徴に欠けるものを控えること、又は、商標専用権の放棄を声明することを注意してください。

四、飲食業の商標専用権の合理使用について

(一)  登録商標の規範使用;

商標権者は、使用を許可された商品又は役務において、登録商標を変更せずに使用するべきである。使用を許可された商品又は役務以外のものに商標権を取得したい場合、又は、登録商標を変更したい場合、別途で出願するべきである。

商標権者の名義や住所などの事項が変更した場合、変更手続を行うべきである。

商標権者は、登録商標を使用する際に、使用証拠を保存すべきである。

(二)  商標権者の合理的な権利保護;

商標権者が権利行使を行う場合、公共領域の内容又は他人の正当、合法権利についての不正権利行使を回避するべきである。

通用名称、図形、規格、商品の品質、原料、機能、用途、重量、数量及び他の特徴を直接表示した言葉又は地名は、公共資源である。登録商標に上述要素を含める場合、当該商標権者は、権利を厳密に行使すべきであり、他人の正当使用を制限又は禁止できない。

(三) 他の市場主体の正当的な使用;

商標権者以外の市場主体は、飲食業に関する商品又は役務についての経営活動において、商標権を尊重すべきである。権利侵害を回避するために、他人の登録商標の顕著な特徴にかける部分を使用する際、出所について誤認を生じさせないように、商品又は役務の特徴の説明のみに使用する。

上記指導によると、登録商標の使用は、使用を許可された商品又は役務範囲で、登録商標の態様で使用すべきであり、かつ、商品や商標態様、商標権者の名義や住所などの事項が変更した場合、改めて商標出願を提出し、又は、変更手続を行うべきである。又、商標権者は、他人の正当の使用を制限又は禁止できず、他人も商標権者の登録商標の顕著な特徴にかける部分を正当的に使用すべきである。

当該指導は、飲食業の商標登録出願と使用に関し、誤認問題、識別力問題および地名を含む問題について詳しく説明した。飲食業の従業員及びその代理人は、関連規定をご注意ください。

The content of this article is intended to provide a general guide to the subject matter. Specialist advice should be sought about your specific circumstances.